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全曲詞集『空色の椅子』発売おめでとうございます!!

発表されたときから楽しみにしていた梶浦由記さんの全曲詞集『空色の椅子』が本日7月18日に発売されましたー!!

おめでとうございます!!!

 

運良く仕事が早く終わる日だったので、「退勤したら本屋さんに直行しよ〜」とワクワクしていたら見当たらない&出版社サイトの発売日と各書店サイトの発売日が違う!!!というまさかの展開に情緒不安定になり思わず出版社さんに電話をしてしまったんですが、電話口の社員さんが丁寧に答えてくださり「出版社の発売日が本日というだけで、各書店は入荷次第の販売という形になります」と。そして「物流が速い地域ならもしかしたら」ともご親切に教えてくださり、書店さんのご協力もあり無事に発売日に購入することができました。

お忙しい中ご対応くださり本当にありがとうございました。

梶浦由記 全曲詞集『空色の椅子』



ここから先は書籍の内容にも触れていきますので、必要に応じて自衛をよろしくお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

梶浦さんご本人から「辞書」と言われる『空色の椅子』ですが、個人的には学術専門書というか史料集のようだなと思いました。持ったときのずっしり感と内容的に。

 

表紙はツルツルピカピカしているのかと思っていたらサラサラと指紋の付かない紙質だったのは嬉しい誤算でした。

表紙の青は夏の空を連想させる色で、ぱっと見は華やかさけれどどこか寂しさも感じさせる印象です。「歴史秘話ヒストリア」の楽曲みたいな。

 

全曲詞集ですから中身の大半は歌詞(230編)なわけですが、こちら全て白い紙に黒い文字となっています。1曲につき見開き1ページ、装飾などは一切ありません。

個人的にはCDの歌詞カードのようなデザインも好きなのですが、これはこれで歌詞がダイレクトに目に飛び込んでくるので良いと思います。「これはこういう曲です」という提示は梶浦さんの紡いだ詞のみ。外的要因や誘導は一切なく、聴き手に委ねる感じで、詞集だけど詩集でもあるというか。

 

そして後半には語り下ろしエッセイ。こちらは3万字あります。ページ数で言うと66ページ。ちなみに総ページ数は537ページです。

内容としては音楽や作詞作曲に対する考え方、曲を作るということ、梶浦さんが生み出す音楽の背景にあるものが分かる形になっています。

長年のお気に入りの本、子ども時代のエピソード(オペラ、ビートルズフィッツジェラルド)、アマチュア・会社員時代からプロへ進んだときのお話、秒数制限・文字数制限ほか作詞のルール、思い入れのある曲、そして30周年にちなんだ30曲のライナーノーツ。

3万字だからという以上に、充実したお話を読むことが出来ます。途中「だいぶ読んだな」と思ってふとページから目を離したら、まだ1/3も行っていませんでした。ギュギュッと詰まっている感じがあります。

そのなかでも特に、数年前に押し入れの奥から出てきた《暗い水の向こうに輝くもの》、《銀紙の味》、「「歌詞が書けねー!」と、苦しんでいる作曲家の曲」あたりは楽しく笑いながら読ませていただきました。

また〝具体的な相手〟がいるラブソング、「俯瞰の眼差し」、椅子の話、「愛ではなく「哀れみ」」なども大変興味深く読ませていただきました。

あと、『空の境界』について触れてくださったのも嬉しかったです。

そしてちなみにですが、66ページあるエッセイのうち、14ページくらいにKalafinaのお話(ライナーノーツ中心)が載っています。興味深いお話も多いので、気になっている方は是非。

 

今回発売された『空色の椅子』は全曲詞集と銘打っていますが日本語の歌詞オンリーのため、いつか英語やイタリア語といった外国語や造語(通称:梶浦語)の詞集、もっと多くの曲のライナーノーツが形になってくれたら良いなぁ、なんて欲張りなことも思いつつ、これからまた読み返しながら梶浦さんの音楽を堪能したいと思います。